キム・ギドク監督作
韓国映画界の鬼才とか奇才と言われることが多い監督。
私も名前だけはよく聞いてましたが、実際に作品を鑑賞したのは本作が初めて。
船上を釣り場として生計を立てるおじさんが船の上で10代の若い女の子を囲って結婚するという、変態映画。
作中描写では、どうやら女の子が6歳くらいの時に拐ってきて、以後10年、ずっと船の上から出さなかったようだ。
え?光源氏?(おじさんはお世辞にも美男ではない。断じて)
本作は全ての場面が船の上。
単調といえば単調だが、古びた船体と小汚いおじさんを背景に、若い肌の白さが輝く妖艶な少女とその色鮮やかな服装がよく映えること。
無垢な少女との結婚を指折り数えて待つ気持ち悪いおじさんが、欲望に任せて少女を押し倒さなかったのが不思議。
最終場面、韓国の伝統的な結婚の儀式を船上で行う場面は妙に浮世離れしていて目新しかった。
クライマックスはおじさんは少女と結ばれる前に入水するも、その直前に空に放った矢が、時間をおいて少女の股間に刺さるシーン。
その瞬間、まるで少女が男に貫かれたように喘ぎ、絶頂を迎え、破瓜するシーンは視聴者に強い印象を残す。
矢にはおじさんの霊魂が込められている、という解釈が妥当だろう。
が、このシーン、画角的に少女を解放しにきた若者が少女を抱いているシーンにも見えるのだ。
監督は、なぜおじさん(の霊)と交わっている(と思われる)シーンに若者を挿入したのか?
思うに、画面上では少女はおじさん(の霊)に抱かれているように描かれてはいるが、実際は若者が抱いたのではないだろうか。
無論、実際のシーンで若者がそうしている明確な描写はないが、これで一応破瓜の理由はつく。
女の子のスカートは矢で地面に縫い付けられれいるから若者はだけなかっただろう!
てかそもそもなんでおじさんが空に放った矢が、結構な時差で女の子の股間に降ってくるんだ!
などと野暮なことを言ってはいけない。
この映画は考えるものではなく、感じるものなのだ。
映像の美しさのおかげか、おじさんの陰湿な欲望が描かれた割には清涼な鑑賞感を与えてくれる不思議な映画。
薦める人をかなり選ぶ映画であることは間違いないが笑